同じ絵ばかり描く子ども|飽きているわけではない理由と、次への誘い方
毎日同じキャラクターや同じ構図ばかり描く子どもに、そろそろ違う絵も、と声をかけたくなったときに。繰り返し描く理由と、無理なく世界を広げる関わり方を紹介します。
気づけば、今日も同じキャラクター。同じ色、同じポーズ、同じ構図。「また同じ絵?」と思わず声が出そうになる日もあります。
繰り返し描くのは、飽きているのではなく、今それに強く関心が向いている証拠です。 この記事では、繰り返し描く理由と、無理なく世界を広げる関わり方を紹介します。
なぜ、同じ絵ばかり描くの?
子どもが特定の題材やポーズを繰り返し描く時期は、その形を「描けるようになりたい」という気持ちが強く働いている時期だと考えられています。同じ人物や動物の輪郭を何度も描くうちに、少しずつ手の動かし方や配置のバランスが変化していくことがあります。
この時期は一時的なもので、本人の中で「もう十分描けた」と感じられると、自然に別の題材へ関心が移っていくことが多いとされています。今は同じ絵に見えても、本人の中では毎回どこかを試している場合があります。
ただし、「そろそろ違う絵も見てみたい」という気持ちも自然なことです。次の章で、無理なく世界を広げる関わり方を紹介します。
無理に変えさせず、世界を広げる3つの工夫
- 今の絵を、心ゆくまで描かせる時間を確保する。 「もうできたから次へ」と急がず、満足するまで繰り返せる時間があると、本人のタイミングで次に進みやすくなります。
- 同じ題材のまま、少しだけ条件を変えてみる。 「今日は違う色で描いてみる?」「大きい紙に描いてみる?」など、題材は変えずに道具や大きさだけ変える提案は、抵抗なく受け入れられることがあります。
- 一緒に描いて、隣に新しい題材をそっと置いてみる。 教えたり誘導したりせず、大人が別の題材を楽しそうに描いている姿を見せると、本人が興味を持ったときに自分から手を伸ばすことがあります。
「もっと上手に」と急かさない
繰り返し描いている絵に対して、「もっと上手に描けるよ」「ここはこう描くといいよ」と大人が手を加えたくなる場面もあります。ただ、今描いている絵に満足している最中に修正を入れると、描くこと自体への意欲が下がってしまう場合があります。
技術的なアドバイスをしたいときは、本人から「どう描いたらいいと思う?」と聞かれたときや、別の作品を見せて「こんな描き方もあるよ」とさりげなく選択肢を増やす関わり方のほうが受け止めやすいことがあります。
今日は、同じ絵をもう1枚描かせてあげるだけで十分です。 変化を急がなくても、いずれ本人のタイミングで広がっていきます。
いつまで続くもの?
続く期間には個人差があり、数週間で別の題材に移る子もいれば、数か月同じ題材を描き続ける子もいます。長く続く場合でも、それだけで発達の心配につながるものではなく、本人がその題材を通じて何かを習得しようとしている途中と捉える見方があります。
気になる場合は、描いた絵をそのつど写真に残しておくと、あとで見返したときに少しずつ変化していることに気づける場合があります。
きょうだいや周りの子と比べて「下手」と感じているように見えるときは、きょうだいや友達と絵を比べてしまう子どもへの声かけも参考になります。
よくある疑問
同じキャラクターばかりで、オリジナルの絵を描かない。心配しなくていい?
好きなキャラクターを繰り返し描くことも、形の練習として自然な行動の一つです。オリジナルの絵を描くかどうかは、本人の興味の向き方次第で、無理に描かせる必要はありません。
何歳ごろに、こうした繰り返しが多く見られる?
形を覚えて描けるようになりたいという関心は、幼児期によく見られます。ただし現れる時期や続く長さには個人差があるため、年齢だけで判断せず、本人の様子を見ながら関わる方法があります。
次にすることは、今日の1枚をそのまま受け止めるだけ。 「また同じだね」ではなく「今日も描いたね」と声をかけてみませんか。
